職場のストレスを家に持ち帰らない。
言葉にすると簡単そうですが、これがなかなかできませんでした。
嫌なことがあった日、家に帰ってからも頭が止まらない。「あーすればよかった」「あの一言はどういう意味だったのか」。奥さんに話すと少し楽になるけれど、職場の微妙な力関係やニュアンスは言葉にしても伝わりにくい。吐き出せても、ぐるぐるは止まらない。
朝起きた瞬間から、昨日の嫌な相手の顔と言葉が浮かんでくる。そんな状態が長い間続きました。
この記事では、私が実際に試して「少し変わった」と感じたことを書きます。完全にゼロにはできていませんが、量は確実に減りました。
※この記事は私個人の経験をもとにした情報提供です。メンタル不調が続いている場合は、専門機関へのご相談もご検討ください。
「帰っても職場にいる感覚」がずっと続いていた
当時の私は、退勤しても頭の中が職場のままでした。
職場でマウントをとってくる上司がいたとき、帰宅後もその人の顔と言葉が頭から離れませんでした。「あのとき固まってしまった」「うまく返せなかった」「また明日もあの人と顔を合わせる」。そう考えながら夕食を食べ、そう考えながら風呂に入り、そう考えながら布団に入る。
今思えば、体と場所だけ家にいて、頭はまだ職場にいる状態でした。
持ち帰らないようにしようとすればするほど、意識がそちらに向く。「気にしないようにしよう」と思うほど、余計に気になる。
テクニックの問題ではなく、もう少し手前に原因があった気がします。
持ち帰ってしまう理由:「減速」という選択肢がなかった
振り返ってみると、当時の私には「減速する」という発想がほとんどありませんでした。
私にはゼロ百思考という癖があります。「動く」か「止まる」かの二択で考えてしまう。だから「まだ止まるほどではない」と判断した瞬間に、自動的に「まだ動ける」という結論になる。手を緩める、少し休む、という選択肢が視野に入らないのです。
そのうえ、疲弊に気づきにくい性質もありました。仕事はギリギリ回せていた。最低限のアウトプットも出せていた。周囲から見れば普通に働いているように見えていたと思います。
でも今振り返ると、身体にははっきりと赤信号が出ていました。
- 一日中疲れが抜けず、強い倦怠感がある
- 集中力が明らかに落ちている
- 慣れたルーティン業務でもミスを連発している
- 人の言葉を必要以上に深読みして疑心暗鬼になる
- 夜になると頭の中で一人反省会が止まらない
これを「調子が悪い時期」「環境が変わったから仕方ない」と解釈して、ずっと軽視していました。
ストレスを家に持ち帰らないためには、まず「減速が必要な状態にある」と気づくことが先にある。そのことを、痛い目を見てから学びました。
やっていること①:一人反省会を「ループ」と名付ける
帰宅後に頭が止まらないとき、ずっと「反省している」と思っていました。でも、あるとき気づきました。これは反省ではなくループだ、と。
反省には意味があります。何があったかを整理して、次にどうするかを考える。それは前に進む行為です。
でも、同じ場面を何度も繰り返し再生して、別の答えを探し続けるのは反省ではありません。頭の中で同じルートをぐるぐるしているだけです。
「またループしている」と気づいたとき、少しだけ自分を責めるのをやめられました。「ループしてしまうのは仕方ない、でもこれは反省とは違う」と認識するだけで、少し距離が生まれます。
完全には止まりません。でも、「またループしている」と気づける回数が増えると、少しずつ早めに抜け出せるようになってきました。
やっていること②:「赤信号かもしれない」と先に疑う
疲弊に気づきにくい性質は、どうにかしようとしても変わりませんでした。だから、自分の感覚を信じるのをやめることにしました。
具体的には、常に「今の自分は赤信号かもしれない」と先に疑うようにしました。
疲労感がなくても、「自分が感じている以上に疲弊しているのでは」と自分を疑う。そうすると、「ちょっと休憩を入れようか」「今日は早めに切り上げよう」という選択肢が思い浮かびやすくなります。
あわせて、「感覚で判断しない」という意識で強制的に休憩を入れるようにしました。休憩するほどではないと感じていても、時間になったら休む。これを義務化することで、じわじわ削られるペースを少し落とせた気がします。
「まだ大丈夫」と思っているときほど、すでに赤信号が灯っている可能性がある。そのことを前提にしておくだけで、対応が変わってきます。
やっていること③:「今日のことは今日で閉じる」と決める
ストレスを家に「持ち帰らない」ようにしようとすると、どうしても「持ち帰ること」を意識してしまいます。
私が少し楽になったのは、「持ち帰らない」ではなく「今日のことは今日で閉じる」という言い方に変えてからでした。
今日起きたことは、今日の分として存在する。明日、また職場で向き合えばいい。今夜家にいる時間は、職場とは別の時間として生きる。
帰り道に少し意識して、「今日分はここで閉じる」と心の中でつぶやく。それだけのことですが、切り替えの合図として機能するようになりました。
完璧に切り替わるわけではありません。それでも、「今日はここまで」という区切りを自分の中に置くと、ぐるぐるが少し落ち着きやすくなります。
それでも持ち帰ってしまうときは
正直に書きます。今も、持ち帰ってしまうことはあります。
嫌なことがあった日は、やっぱり頭が動き続けます。ループしていると気づいても、そのまましばらく続いてしまうことも多い。
でも以前と違うのは、「持ち帰ってしまった自分」を責めなくなったことです。
職場のストレスを家に持ち帰らないことは、習慣や意識でコントロールできる部分と、そもそもの性質として変えにくい部分が混在しています。後者については、無理に変えようとするより、「そういう自分だ」と受け入れるほうが消耗が少ない。
持ち帰ってしまったとき、それ自体をまた責め始めると、ループの上にループが乗ります。
「またループしてるな」と気づいたら、それ以上責めない。それだけでも、少し違います。
まとめ
私がやっていることを3つ書きました。
- 一人反省会を「ループ」と名付けて、反省と切り分ける
- 「赤信号かもしれない」と先に疑い、感覚より先に休憩を入れる
- 「今日のことは今日で閉じる」という区切りを意識する
どれも劇的な変化をもたらすものではありませんでした。でも、少しずつ積み重なって、家での時間が少しだけ職場から離れるようになりました。
ストレスをゼロにすることより、「量を減らす」「自分を責める回数を減らす」ことを目標にする方が、続けやすいと思っています。
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