復職の日が近づいてくると、よくなってきたはずなのに、また別の不安が顔を出してきます。
また同じように潰れてしまうんじゃないか。せっかく休んだのに、意味がなかったらどうしよう。
私は休職を経験しましたが、最終的に復職ではなく、環境を変える道を選びました。だから「復職して、再発を防ぎきった」と胸を張って言える立場ではありません。
それでも、休職から立ち上がっていく過程で「また崩れないために何が必要か」は、ずっと自分なりに考えてきました。復職する人も、私のように別の道を選ぶ人も、そこで必要になることの芯は同じだと思っています。
この記事では、その芯にあると私が感じていることを、できるだけ正直に書いていきます。
※この記事は私個人の体験と、調べた範囲の情報に基づくものです。心身の不調や治療に関する判断は、必ず主治医や専門家にご相談ください。
復職後に再び崩れるのは、決して特別なことじゃない
まず、知っておいてほしいことがあります。
メンタル不調で休職した人のうち、復職後1年以内に再び休職に至る人は半数近くにのぼる、というデータもあるそうです。
この数字を見て、怖くなる必要はありません。むしろ逆です。
もしまた崩れてしまったとしても、それはあなたの心が弱いからでも、休み方を間違えたからでもありません。それくらい、復職という環境の変化は負担が大きいということです。
だからこそ、気合いや根性ではなく、仕組みとして備えておくことに意味があります。
また崩れてしまう人に、よくある3つのパターン
再発のきっかけには、いくつか共通したパターンがあると言われています。私自身が休職中に「これは危ないな」と感じたものとも重なります。
1. 焦って復職を決めてしまう
「早く戻らないと」「これ以上迷惑をかけられない」という焦りから、まだ心が回復しきっていないのに復職日を決めてしまう。
私も休職中、この焦りには何度ものみ込まれそうになりました。でも、弱っているときの判断は、たいてい不安に引っ張られています。復職のタイミングは、自分の感覚だけでなく、主治医の意見も聞きながら決めるほうが安全だと感じます。
2. 復職した直後から、エンジン全開で頑張る
「休んだ分を取り戻したい」「ちゃんとできるところを見せたい」。その気持ちが、復職直後のアクセルを踏ませます。
けれど、復帰したばかりの心と体に、休職前と同じ出力は出せません。最初から飛ばすと、数週間後にガス欠が来ます。
3. しんどさを、一人で抱え込む
「またつらいなんて言えない」「心配をかけたくない」。そう思って、不調のサインを誰にも言えないまま抱え込んでしまう。
これは、私がいちばん危ないと思うパターンです。あとで詳しく書きますが、サインを言葉にできるかどうかは、再発を防ぐうえでとても大きいと感じています。
「7割の力で働く」を、自分に許す
復職後しばらくは、7割くらいの力で働くのがちょうどいい、とよく言われます。
私は、この考え方がとても大事だと思っています。
業務量を減らされたり、簡単な仕事を任されたりすると、「自分は戦力外だ」「腫れ物扱いされている」と感じてしまうことがあります。でも、それは多くの場合、長く働き続けてほしいという配慮です。
10割で走り続けて3か月でまた倒れるより、7割で1年走り続けるほうが、結果的にずっと遠くまで行けます。全力を出さないことに、罪悪感を持たなくていいのです。
主治医や相談先とのつながりを、切らない
体調が上向いてくると、「もう大丈夫」と感じて、通院や服薬を自己判断でやめたくなることがあります。
でも、調子がいいときこそ、つながりは切らないほうがいいと私は思います。
不調の波は、自分でも気づかないうちに、また静かにやってくることがあります。そのとき、定期的に話せる相手がいるかどうかで、ブレーキを踏めるタイミングが変わってきます。
主治医でも、カウンセラーでも、信頼できる誰かでもいい。「いざというとき話せる場所」を一つ残しておくことが、お守りになります。
私がいちばん大事だと思うのは「赤信号に気づいて減速すること」
ここからが、私がこの記事でいちばん伝えたいことです。
再発を防ぐうえで、私がいちばん効くと感じているのは、自分の「赤信号」を先に知っておくことです。
人には、限界が近づいたときに出るサインがあります。私の場合は、眠りが浅くなる、好きだったことに興味がわかなくなる、朝に動悸がする、といったものでした。
調子を崩したときのことを思い出すと、たいてい、こうしたサインは「倒れる」よりずっと前に出ていました。ただ、当時の私はそれを無視して、アクセルを踏み続けてしまっていたのです。
だから今は、自分のサインをいくつか言葉にして、覚えておくようにしています。そのサインが出たら、それは赤信号。何かを足すのではなく、減速する合図です。
予定を一つ断る。早く寝る。誰かに「ちょっとしんどい」と言ってみる。小さな減速でいい。倒れてから止まるのではなく、赤信号のうちに緩める。これが、私にとっての再発防止の核です。
自分の赤信号がまだ分からないという方は、過去に崩れたときのことを少し思い出してみてください。倒れる手前に、きっと何かサインがあったはずです。
戻る場所を変えるのも、再発防止のひとつ
最後に、正直に書いておきたいことがあります。
ここまで復職を前提に書いてきましたが、私自身は復職ではなく、環境を変える道を選びました。
どんなに7割で働こうとしても、赤信号に気づこうとしても、その環境そのものが自分に合っていなければ、サインは出続けます。私の場合は、戻る場所を変えることが、いちばんの再発防止になると判断しました。
これは「復職せず辞めたほうがいい」という話では、まったくありません。復職して、自分のペースを取り戻していく人もたくさんいます。
ただ、もし「あの場所に戻ること」を考えるだけで体がこわばるなら、戻る前提を一度外して考えてみる時間があってもいいと思います。復職か、転職か。私が迷いながら決めていった過程は、別の記事に書きました。
また崩れそうなとき、一人で抱えないために
復職後に再び崩れないために、私が大事だと思うことをまとめます。焦って復職を決めない。7割の力で働く。相談先とのつながりを切らない。自分の赤信号に気づいて、早めに減速する。そして、必要なら戻る場所そのものを見直す。
どれも、特別なことではありません。けれど、しんどさの渦中にいると、こうした当たり前のことほど見えなくなります。
もし今、復職への不安で頭がいっぱいになっているなら、その不安を一度、誰かに話してみるだけでも、少し軽くなることがあります。
次に読むなら、この記事もどうぞ。
一人で抱え込まず、話してみませんか
復職にまつわる不安は、身近な人ほど話しづらいものです。心配をかけたくない、情けないと思われたくない。私自身もそうでした。
でも、利害関係のない誰かに、ただ話を聞いてもらうだけで、ぐるぐるしていた頭が整理されることがあります。同じように職場で消耗し、休職を経験した人間として、あなたの今に寄り添えたらと思っています。
もう少し自分のペースで理解を深めたい、という方には、私がこれまでの経験をまとめた本もあります。メンタル不調と職場の関係を、もっと整理したい方へ。




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