休職している間、私はずっと迷っていました。
このまま元の職場に復職するのか。それとも、転職して環境を変えるのか。
答えは、なかなか出ませんでした。むしろ、弱っているときほど、考えれば考えるほど分からなくなっていったのを覚えています。
この記事では、私が「復職か転職か」という問いにどう向き合って、最終的にどう決断したのかを書いていきます。
今まさに同じ問いの前で立ち止まっている方の、頭の中を少し整理する助けになればうれしいです。
復職と転職、それぞれで私が感じたこと
まず、私の中にあった迷いを、正直に並べてみます。
復職について感じていたこと
復職には、安心感があります。慣れた仕事、知っている人間関係、変わらない生活。新しい環境に飛び込むストレスがない。
でも、その一方で、ずっと引っかかっていたことがありました。「戻ったとして、また同じことを繰り返すんじゃないか」。
私が消耗したのは、自分の頑張りが足りなかったからではなく、環境との相性の問題が大きいと感じていました。だとしたら、同じ場所に戻れば、また同じように削られるのではないか。その不安が、どうしても消えませんでした。
転職について感じていたこと
転職には、環境を変えられるという魅力があります。合わない場所から、距離を取れる。
でも、こちらにも不安はありました。新しい環境になじめるのか。休職のブランクをどう説明するのか。そして、「また合わなかったら、どうしよう」。
どちらを選んでも、不安はゼロにならない。だからこそ、決めきれませんでした。
まず、弱っているときは決めなかった
迷っているなかで、私が最初に決めたルールがあります。
それは、「弱っているときは、大きな決断をしない」ということでした。
消耗が深いとき、人は判断力そのものが落ちています。私もそうでした。何が正常な判断なのかも分からなくなっていて、頭がうまく動かない。
その状態で人生に関わる決断をしても、後で後悔しやすい。だから私は、まず回復を優先することにしました。
登山の話を思い出していました。どれだけ経験豊富な登山家でも、天候が急変したら、無理に頂上を目指さず引き返す。それは敗北ではなく、判断です。生きて戻れば、また次のチャンスがあるからです。
削られ続けた状態では、そもそも良い選択はできません。少し回復して、頭が動くようになってから決める。その順番を、私は間違えないようにしました。
私が軸にしたこと:「逃げか」ではなく「合理的か」
回復してきて、いざ考え始めると、また別の壁にぶつかりました。
「ここで転職したら、逃げになるんじゃないか」。
この感覚に、私はずっと縛られていました。ここで辞めたら負けだ、もう少し踏ん張れば変わるはずだ、と。
でも、あるとき気づきました。「逃げかどうか」は、行動そのものではなく、評価や意味づけを含んだ言葉だということに。
同じ「環境を変える」でも、称賛されることもあれば、「逃げた」と言われることもある。つまりそれは、行動の中身ではなく、まわりがどう見るか、自分がどう意味づけするかの話なのです。
そこで私は、問いそのものを変えました。「これは逃げか?」ではなく、「これは自分にとって合理的か?」と。
逃げというのは、問題から目をそらして先送りにすること。でも距離を取ることは、問題の構造を見たうえで、自分を守る判断をすることです。この2つは、まったく違います。
そして、距離を取ることは、転職や退職だけを指すわけでもありませんでした。関わり方を変える、部署の異動を願い出る、休職して一度離れる。それも全部、環境との距離を調整する選択です。
HSS型HSEの私が引っかかったこと
もうひとつ、決断のときに向き合ったのが、自分の性質のことでした。
私はHSS型HSEという気質を持っています。刺激を深く処理して、人の感情や場の空気を無意識に拾ってしまう。だから、合わない環境にいると、人より早く、深く削られていきます。
ここで大事なのは、これは優劣の話ではない、ということです。仕様の違う人間が、同じ場所にいるだけ。音が気にならない人と、音に敏感な人が、同じ部屋にいるようなものです。どちらが悪いわけでもありません。
そう考えたとき、私の中で一つの答えが見えてきました。自分の性質に合わない環境に戻れば、おそらく、また同じように消耗を繰り返す。
かつての私は、「人間関係がつらいのは、自分の受け止め方の問題だ」と思って、自分を変えようとしていました。でも、いくら自分を変えようとしても、根本は変わりませんでした。楽になったのは、自分を変えたからではなく、環境との相性を見直したときだったのです。
転職を考え始めた最初のころの話は、こちらにも書いています。→ メンタル不調で転職を考え始めたとき、最初にやったこと【経験者の視点】
それで、私はどうしたか
こうして私は、復職ではなく、環境を変える方向を選びました。
といっても、勢いで飛び出したわけではありません。私がやったのは、半年の休職期間を、ただ休むだけでなく、自己分析とキャリアの相談にあてることでした。
自分はどんな環境だと消耗しやすいのか。逆に、どんな環境なら力を出せるのか。それを言葉にしてから、転職活動に入りました。
そして、転職エージェントには、休職した経緯を隠さずに伝えました。隠して背伸びした求人に進んでも、結局また同じミスマッチを繰り返すと思ったからです。事情を正直に共有したことで、紹介される求人のずれが、ぐっと減りました。
エージェントとの付き合い方で気をつけたことは、別の記事に詳しくまとめています。→ 転職エージェントを使う前に知っておきたいこと|休職・メンタル不調を経験した私の視点
「正解」を選ぶより、選んだ道を正解にしていく
正直に言うと、決断した後も、「本当にこれでよかったのか」という気持ちは、しばらく残っていました。
でも、実際に環境を変えてみて、感じたことがあります。
「降りたら、もっと大変なことになる」と思い込んでいたのに、想像していた地獄は来ませんでした。それどころか、ストレスは大きく減りました。
今になって思うのは、復職か転職か、どちらが絶対の正解、という話ではなかった、ということです。人によって、状況によって、合う答えは変わります。
大事なのは、「正解を選ぶ」ことよりも、「選んだ道を、自分にとっての正解にしていく」ことなのかもしれません。
ひとりで決めきれないときは
復職か転職か。この問いは、一人で抱えていると、答えのない問いばかりが頭をぐるぐる回って、消耗していきます。私もそうでした。
もし今、あなたが同じ場所で立ち止まっているなら、伝えたいことがあります。焦って結論を出さなくて大丈夫です。まずは、自分の状態と、迷いの中身を整理することから始めていい。
その整理を、一人ではなく、同じように休職と環境の選択をくぐってきた立場から、一緒にお手伝いできます。こんな悩みを抱えているときに、よければ話を聞かせてください。
休職からの過ごし方や、回復のためにやってよかったことは、別の記事にもまとめる予定です。
※この記事は私自身の経験と考えをまとめたものです。復職・転職・退職の判断は、ご自身の状況に合わせて、必要に応じて主治医や産業医、専門の窓口にご相談ください。



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