メンタルがしんどくて、「もう転職するしかないかもしれない」。
そう思い始めた時期が、私にもありました。
ただ、いま振り返って思うのは、あのとき私が最初にやったのは、転職活動そのものではなかった、ということです。
求人を探すより先に、私は自分の状態と、頭の中の問いを整理していました。
この記事では、メンタル不調で転職を考え始めたとき、私が「最初にやったこと」を書いていきます。
これから同じことを考え始めた方が、焦って動く前に少し落ち着くきっかけになればうれしいです。
「転職するしかない」と思ったとき、いったん立ち止まった理由
最初に正直に書いておきたいことがあります。
メンタルが弱っているとき、人は冷静な判断がしにくくなります。
これは気持ちの問題ではなく、消耗が続くと、判断力そのものが落ちていくからです。
動きが遅くなり、簡単なことが決められなくなり、思考が広がらなくなる。
しかも怖いのは、その状態が深くなると、「離れる」という選択肢すら思いつけなくなることです。
出口が見えなくなるのは、出口がないからではなく、見える余裕がなくなっているからでした。
私は当時、「もう少し頑張れば」と、ずっと自分に言い聞かせていました。
でも、その「もう少し」が何年も続くとき、それはもう自分を守る言葉ではなく、限界をごまかす言葉になっていたのだと思います。
だからまず、転職サイトを開くより先に、いったん立ち止まって、自分の状態と問いを整理することにしました。
最初にやったこと①:「逃げかどうか」という問いを手放す
転職を考え始めると、必ず頭に浮かぶ言葉があります。
「これは、逃げになるんじゃないか」。
私もずっと、この言葉に引っかかっていました。
ここで辞めたら負けだ、もう少し踏ん張れば変わるはずだ、と。
でも、あるとき気づきました。
「逃げかどうか」は、行動の中身そのものではなく、評価や意味付けを含んだ言葉だということに。
同じ「転職」でも、称賛されることもあれば、「逃げた」と言われることもある。
つまりそれは、行動の話ではなく、周囲がどう評価するか、自分がどう意味付けするかの話なのです。
そこで私は、問いそのものを変えました。
「これは逃げか?」ではなく、「これは自分にとって合理的か?」と。
考えてみれば、私たちは仕様の違う人間が、同じ場所にいるだけです。
音が気にならない人と、音に敏感な人が、同じ部屋にいる。どちらが正しいわけでもありません。
ただ、その部屋が自分にとって消耗の原因になっているなら、部屋を変えるのは十分に合理的な判断です。
職場も、同じだと思います。
最初にやったこと②:「転職」以外の選択肢も机に並べる
次にやったのは、選択肢を広げることでした。
「環境を変える」というと、すぐ転職を思い浮かべがちです。
でも、距離を取る方法は、転職だけではありません。
- 上司との関わり方を変える
- 相談する相手を変える
- 部署の異動を申し出る
- 一度休職して距離を置く
- 転職を視野に入れる
これらはすべて、その環境との物理的・心理的な距離を調整する、という意味では同じです。
完全に切り離すことだけが、距離を取ることではないのです。
ここで私が支えにしていたのは、登山の話でした。
どれだけ経験豊富な登山家でも、天候が急変したら、無理に頂上を目指さず引き返す。それは敗北ではなく、判断です。生きて帰れば、また次のチャンスがあるから。
私も、いきなり転職に飛びつくのではなく、まず距離を取って少し回復してから、次の一手を考えることにしました。
削られ続けた状態では、そもそも良い選択なんてできないと思ったからです。
回復して、頭が少し働くようになってから、転職という選択肢をあらためて本格的に検討する。
その順番を、私は間違えないようにしました。
最初にやったこと③:努力の向け先を変える
もうひとつ、私が変えたものがあります。
それは、努力の「向け先」です。
理解されない環境にいると、人はつい「もっと頑張ろう」とします。
もっとうまく説明すれば、もっと成果を出せば、いつかわかってもらえるはずだ、と。
でも、理解されにくさには構造的な理由があることも多く、努力の量を増やしても届かないことがあります。
そして、届かない努力を続けるあいだに、じわじわと削られていくのは「自分を信じる力」です。
- 自分の感覚がおかしいのだろうか
- みんなは平気そうなのに、なぜ自分だけ
- やっぱり自分が弱いのではないか
外からの評価が、そのまま自分への評価になっていく。
私は、この状態が一番こわいと思っています。
だから私は、努力をやめるのではなく、向け先を変えました。
「理解されない人に届かせる努力」から、「自分が理解される場所を探す努力」へ。
前者は消耗を前提にした努力で、後者は回復を前提にした努力です。
どちらにエネルギーを使うかを、意識的に選んでいい。これが、私にとって「最初にやったこと」の核でした。
すぐには動けない人へ
ここまで書いておいて、正直に補足したいことがあります。
「環境を変えよう」と言うのは簡単です。
でも、経済的な理由や家庭の事情、そもそも選択肢が見えていない状態など、すぐには動けない人もたくさんいます。私自身、すぐに身軽に動けたわけではありません。
だから、「さっさと辞めればいい」と言いたいわけではないのです。
ただ、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。
理解されない場所で努力し続けることには、見えにくいけれど確実なコストがかかっている、ということです。
それを知っているかどうかだけでも、自分の扱い方は少し変わります。
もし今、判断に迷っているなら、自分にこう問いかけてみてください。
この場所で過ごすことで、私は少しずつ回復しているだろうか。
それとも、じわじわと削られているだろうか。
その答えが、次の判断の出発点になると思います。
※この記事は私自身の経験と考えをまとめたもので、医学的な診断や治療、転職・退職の判断を勧めるものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関など専門家にご相談ください。
転職を考え始めた今は、答えの出ない問いばかりで、頭の中がぐるぐるしているかもしれません。
でも、焦って結論を出さなくて大丈夫です。
私がやったのも、まずは問いと、自分の状態を整理することだけでした。
もし、一人で考えるとぐるぐるしてしまうなら、その整理を一緒にやるお手伝いができます。

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