転職活動を続けていると、ある日ふっと「もう疲れた」「しんどい」と感じる瞬間が来ます。書類が通らない。面接で落ちる。やることは多いのに、手応えがない。そんな状態が続くと、心が削られていきます。
最初にお伝えしたいのは、転職活動がしんどいと感じるのは、あなたが弱いからではない、ということです。多くの転職経験者が同じ場所で立ち止まっています。とくに一度メンタルの不調を経験した人にとっては、転職活動は「また同じように崩れるのではないか」という不安と隣り合わせの時間になりがちです。
私自身、適応障害で休職したあとに転職活動をして、途中で何度も心が折れかけました。この記事では、私が転職活動で一番しんどかった時期に、これ以上崩れないためにやったことを書いていきます。一般的な気分転換の話ではなく、メンタル不調を経験した人間が、自分を守るために実際に選んだ行動の話です。
転職活動が「しんどい」と感じるのは、あなたが弱いからではない
結論から書きます。転職活動でメンタルがしんどくなるのは、ごく自然なことです。
転職活動には、しんどくなる要素がもともと多く含まれています。書類選考や面接で不採用が続けば、自分を否定されたような気持ちになります。働きながら活動していれば、今の仕事のストレスと転職活動のストレスを二重に抱えることになります。退職してから活動していれば、収入がない不安が重くのしかかります。
つまり、しんどさはあなたの頑張りが足りないから起きているのではなく、転職活動という構造そのものに組み込まれているものです。
ここを取り違えると、「自分のメンタルが弱いせいだ」と自分を責める方向に進んでしまいます。一度メンタルを病んだ経験がある人ほど、この自己否定のループに入りやすいと感じています。だからまず、しんどさを感じている自分を責めないことが出発点になります。
私が転職活動で一番しんどかった時期
私が転職活動を始めたのは、適応障害で休職し、そのまま退職したあとでした。療養を経て少し回復し、さあ次へ、と動き出した時期です。
最初は、それまでとは違う未経験の職種に挑戦しようと考えていました。心機一転、まったく新しい環境で、という気持ちです。でも、そこからが想像以上に苦しい時間でした。
未経験の職種に10件ほど応募して、書類選考はすべて落ちました。1件も通りませんでした。
不採用通知が続くと、回復しかけていた自信が、また少しずつ削られていくのが分かりました。「やっぱり自分には何もないのかもしれない」「休職していた人間は、どこからも必要とされないのではないか」。そんな考えが、頭の中をぐるぐる回り始めました。
このときの感覚を、私は以前から知っていました。休職前、職場で消耗していたときと同じ感覚です。外からの評価が、そのまま自分の評価になっていく。自分を信じる力が、じわじわと失われていく。あの感覚が、転職活動の中でまた戻ってきていました。
メンタルがまた崩れそうだと気づいたサイン
一度メンタル不調を経験すると、「また崩れそうだ」というサインに、以前より少しだけ早く気づけるようになります。私の場合のサインは、こんなものでした。
朝、布団から出るのに時間がかかるようになる。求人サイトを開くのが億劫になる。応募する前から「どうせ落ちる」と結論が出ている。何を見ても気持ちが動かない。
これは、気持ちの問題というより、消耗が積み重なって思考の働きが落ちているサインでした。判断力そのものが落ちてくると、視野が狭くなります。すると、「いったん休む」「方向を変える」といった選択肢すら、思いつけなくなっていきます。
出口が見えなくなるのは、出口がないからではなく、見える余裕がなくなっているからだと、いまは思っています。だからこそ、まだ少し余力があるうちに、サインに気づいて手を打つことが大事でした。
崩れないために私がやったこと
ここからが本題です。転職活動でこれ以上崩れないために、私が実際にやったことを書きます。
「もう少し頑張る」のループを、いったん止めた
うまくいかないとき、人はまず「もっと頑張ろう」とします。もっと応募する。もっと自己PRを練る。もっと数を打つ。
でも、消耗した状態で数だけ増やしても、空回りするだけでした。私は一度、応募の手を止めました。「もう少しだけ」を繰り返すことが、自分を守る言葉ではなく、限界をごまかす言葉になりかけていたからです。数日でも活動から離れて、まず生活のリズムを戻すことを優先しました。
努力の「向け先」を変えた
未経験の職種で10連敗したとき、私は応募する方向そのものを見直しました。
それまでの私は、「届かない場所に、もっと努力して届かせよう」としていました。でも、いくら努力の量を増やしても、相性が合わない場所には届かないことがあります。これは、休職前に職場で学んだことでもありました。
そこで私は、自分のこれまでの経験が活きる方向に応募先を広げてみました。結果として20〜30件ほど応募し、面接にも進めるようになりました。努力をやめたわけではありません。努力の向け先を、消耗する方向から、回復につながる方向へ変えただけです。
「また辛くなりそう」な選考は、辞退した
面接に進めるようになってからも、すべてを受け続けたわけではありません。
選考を進めるなかで、「ここに入ったら、また同じように辛くなるかもしれない」と感じた会社がありました。以前の自分なら、内定の可能性を逃すのが怖くて、無理にでも進めていたと思います。
でも、このときは面接を辞退しました。自分の「また崩れそうだ」という感覚を、今回は信じることにしたからです。一度メンタルを病んだ経験は、こういう場面で「自分を守るセンサー」として働いてくれることがあります。そのセンサーを無視しないようにしました。
全部を分かってもらおうとは、しなかった
転職活動中は、面接で休職や退職の理由を聞かれます。これも、しんどさの大きな要因でした。
ここで私が意識したのは、自分のすべてを完璧に分かってもらおうとしないことです。メンタル不調は、外から見えず、数字でも測れず、本人ですら整理しきれない状態です。それを面接の短い時間で100パーセント理解してもらうのは、そもそも難しいことでした。
だから私は、「事実」と「いまは回復していること」を、落ち着いて伝えることだけを目標にしました。分かってもらえなくても、それは自分の伝え方が悪いからとは限らない。そう考えられるようになってから、面接の前後で消耗することが減りました。休職を経験した事実をどう伝えたかは、面接での退職理由の伝え方の記事に詳しく書いています。
しんどいときに「やらなくてよかった」こと
逆に、しんどいときにやらなくてよかったと感じたこともあります。
一つは、勢いで条件を妥協して決めてしまうことです。早く終わらせたい一心で、合わない会社に飛び込んでいたら、また早期に崩れていたと思います。
もう一つは、他人と比べることです。同じ時期に転職を決めた人の話を聞くと焦りますが、回復のペースも、合う環境も、人それぞれ違います。比べるほど、自分を信じる力が削られていきました。
そしてもう一つは、限界を超えてまで活動を続けることです。心と体が消耗しきった状態で重要な判断をしても、後悔の少ない選択にはなりにくい。疲れたら休む。これは怠けではなく、回復を前提にした戦略でした。
それでもつらいときは、一人で抱えなくていい
ここまで、自分でできることを書いてきました。ただ、転職活動のしんどさを、全部一人で抱える必要はありません。
私の場合、転職活動の途中から、転職エージェントに頼ることにしました。実際に登録したのは、リクルートエージェントとdodaの2社です。担当の方には、休職していた経緯や、しんどくなった理由、自分なりに整理した「次は避けたい環境」を、できる範囲で正直に伝えました。
すべてを分かってもらおうとしたわけではありません。ただ、状況を共有しておくと、求人の紹介や面接の組み方で、自分のペースに合わせてもらいやすくなりました。一人で求人サイトと向き合い続けるより、伴走してくれる人がいるほうが、消耗は明らかに減りました。
いま調べると、メンタル不調や休職を経験した人の相談に乗ってくれる転職サービスもあります。たとえばユメキャリ(※広告)のようなサービスです。合う・合わないは人によりますが、「一人で抱えなくていい」という選択肢があることだけは、知っておいてよいと思います。
最終的に私は、希望していた職種の1社から内定をもらい、いまは経理職として残業のほとんどない環境で働いています。転職活動でしんどかった時期があったからこそ、自分が回復できる環境を選べたのだと思っています。
転職活動が今しんどいなら、まず「自分は回復しているか、それとも削られているか」を、一度だけ自分に問いかけてみてください。その答えが、次の一歩を決める出発点になるはずです。あなたのペースで進めて大丈夫です。
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※この記事は、適応障害で休職・退職を経験した私自身の体験をもとに書いています。心身の不調が続く場合や、つらさが大きい場合は、無理をせず医療機関や公的な相談窓口にご相談ください。記載の内容は私個人の経験であり、すべての方に当てはまるものではありません。
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