HSS型HSEは、疲れに気づいたときには、すでに深く消耗している。私はそう感じています。
新しいことや刺激にどんどん飛び込めるのに、人より早く、深く疲れてしまう。しかもその疲れに自分では気づきにくい。だから「疲れの取り方」を知る前に、まず「自分は疲れに気づけない」という前提に立つ必要があると、私は考えています。
この記事では、気づかないまま走り続けて休職した私が、いま回復のために実践していることを、4つに整理して書きます。一般的な疲れの取り方リストではなく、なぜ自分は休めなかったのかを踏まえた、当事者なりの回復のしかたです。
※HSS型HSEは医学的な診断名ではなく、気質を説明するための概念です。この記事は私個人の体験に基づくもので、症状や回復のしかたは人によって異なります。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
HSS型HSEは、気づいたときにはもう深く疲れている
私は活動的で、周囲からは元気そうに見えるタイプです。それなのに、ある時、心身に明らかな異常を感じて休職に至りました。
当時の私は、通常通り出勤して、最低限の仕事は回せていました。だからこそ、自分でも限界に気づけませんでした。けれど内側では、ミスが増え、記憶力が落ち、簡単な判断にも時間がかかるようになっていました。倦怠感が一日中抜けず、夜になると頭の中で一人反省会が止まらない。そういう状態が、じわじわと続いていたのです。
なぜHSS型HSEは、こんなふうに限界のサインに気づけないのか。その仕組みは別の記事に詳しく書いたので、ここでは深入りしません。この記事で伝えたいのは、その「気づけなさ」を前提にしたうえで、どう回復していくか、です。
私が回復できなかった理由は、ゼロ百思考だった
振り返ると、私が回復をうまくできなかった大きな理由のひとつは、ゼロ百思考、いわゆる白黒思考でした。
私の中には「動く」か「止まる」かの二択しかありませんでした。その間にある「少し手を緩める」「早めに休む」という選択肢を、ほとんど検討していなかったのです。だから、まだ完全に倒れていない以上は「まだ動ける」と判断し、走り続けてしまいました。
回復のために一番はじめに必要だったのは、特別なテクニックではなく、「減速する」という選択肢が自分にもあるのだと、まず知っておくことでした。動くか止まるかの間に、ちゃんとグラデーションがある。そう思えるだけで、ずいぶん楽になります。
いま私が実践している、回復のしかた
そのうえで、私がいま実際に試している回復のしかたを4つ紹介します。どれも、休職という痛い経験を経てたどり着いたものです。
① 「減速する」という選択肢を持つ
まず、手を緩めるという選択肢が存在することを、日頃から自分にインプットしておくことです。
無理しないようにしよう、早めに休もう。そういう中間の選択肢を、私はずっと飛ばしていました。だから「減速」という言葉を、あえて自分の中に置いておくようにしています。止まらなくてもいい、ただ少しペースを落とす。それも立派な選択肢だと、繰り返し思い出すようにしています。
② 「今は赤信号かもしれない」と自分を疑う
私は、自分の疲れに気づきにくい性質を持っています。これはもう変えようとせず、受け入れて対策する方が現実的だと考えました。
そこで、調子が悪くない時でも「今の自分は、感じている以上に疲れているのではないか」と、あえて自分を疑うようにしています。非HSPの人より疲れやすい性質なのはほぼ間違いないので、少し疑うくらいでちょうどいい。そう考えると、「ちょっと休憩を入れようか」という選択肢を、自然と思い出せるようになりました。
③ 疲れを感じなくても、強制的に休む
②から続きますが、立ち止まって少しでも疲労を感じたら、休む。これは言葉にすると当たり前すぎますが、私はこの休憩を甘く見た結果、破綻に向かってしまいました。
過去の私は「疲れに気づかなかった」のではなく、「休憩するほどではない」と常に判断していたのです。仕事はギリギリ回せていたし、同僚とも笑って会話できていた。でも実際には、倦怠感、集中力の低下、ミスの連発、人の言葉への深読み、夜の一人反省会と、サインははっきり出ていました。
だから今は、自分の感覚を当てにせず、ほぼ強制のレベルで休憩を義務にしています。休むほどではないと感じても、です。痛い目を見たからこそ、自分にこの強制力を行使できるようになりました。
④ アクセルを踏み続ける環境から離れる
そしてもうひとつ、根本的な話として、自動的にアクセルを踏まされる環境からは離れる、ということです。
私が消耗していたのは、こんな環境でした。組織や人員の入れ替わりが激しい、タスクの優先順位が日々入れ替わる、役割や評価軸が曖昧、トラブルが日常茶飯事。こういう刺激の多い環境だと、私は常に走らされ、あっという間に疲弊します。
休職する前の私は、こうした環境に自分を合わせられるようになることが正解だと思い込んでいました。変えられない自分が悪いんだと、ずっと責めていました。でも今は断言できます。あれは、単に相性が悪かったのです。どんな環境が自分を消耗させるのかについては、別の記事でも整理しています。
回復は「気合」ではなく「仕組み」で支える
4つを通して私が伝えたいのは、回復は気合では続かない、ということです。
「次は無理しないようにしよう」と気持ちで誓っても、私はまた興奮モードと責任感に引っ張られて走り出してしまいます。だから、気持ちではなく仕組みにします。減速という選択肢を言葉で持っておく。自分を疑う前提を置いておく。休憩を義務にする。環境そのものを選ぶ。意志ではなく、あらかじめ決めた仕組みで自分を守る。これが、私にとっての回復のしかたです。
そもそもHSS型HSEは、繊細さゆえに疲れやすい性質を持っています。本来、人よりもこまめにメンテナンスが必要な人間なのだと思います。疲れやすいのは弱さではなく、ただそういう性質だということです。
それでも、一人で抜け出せないときは
とはいえ、自分が今どれくらい疲れているのか、どんな環境が自分に合うのかを、一人で正確に見極めるのは難しいものです。私自身、自分の限界に気づけなかった人間です。考えがぐるぐるして、答えが出ないこともあると思います。
私はHSS型HSE・休職経験者として、働き方や疲れとの付き合い方の相談を受けています。同じ性質を持つ人間として、あなたの話をしっかり聴きます。テキストでも電話でも大丈夫です。
もう少し自分のペースで、HSS型HSEという気質について理解を深めたい方には、私がこれまでの経験をまとめた本もあります。
「繊細さんじゃないはずなのに」なぜか生きづらい人へ
HSS型HSEという気質について、当事者の視点から整理した一冊です。「繊細なはずなのに、刺激も求めてしまう」その矛盾に心当たりのある方へ。

最後に
HSS型HSEの回復で大事なのは、疲れの取り方のテクニックを増やすことよりも、「自分は疲れに気づきにくい」という前提を受け入れることだと、私は思っています。
気づけないなら、気づけることにしようとせず、気づけない前提で仕組みを作る。減速の選択肢を持ち、自分を疑い、休憩を義務にし、合わない環境からは離れる。どれも特別なことではありません。でも、過去の私にいちばん足りなかったことです。
もし今、走り続けてしまっている感覚があるなら。一度立ち止まって、自分は今、赤信号かもしれないと疑ってみてください。それだけで、少し肩の力が抜けることがあります。これは、気づかずに走り続けた過去の私自身にも、言い聞かせたい言葉です。
※本記事は私個人の体験と考えに基づくものです。HSS型HSEは医学的な診断名ではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
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