休職が決まったとき、私は正直ほっとしました。
あの通勤電車に乗らなくていい。あの会議に出なくていい。
でも、その安堵感は長くは続きませんでした。すぐにやってきたのは「何もしていない自分」への焦りです。
休職は、体を休めることはできても、心がなかなか休まりません。何をして過ごせばいいのか分からず、ただ時間だけが過ぎていく。そんな日もありました。
この記事では、私が休職期間を振り返って「やってよかった」と思えたことと、逆に「やらなくてよかった(やらなければよかった)」と感じたことを、できるだけ正直に書いていきます。
休職中の過ごし方に、たった一つの正解はありません。それでも、同じように休職している誰かが少し肩の力を抜けたら、という気持ちで書きました。
※この記事は私個人の体験に基づくものです。心身の不調や治療に関する判断は、必ず主治医や専門家にご相談ください。
休職して最初に襲ってきたのは「焦り」だった
休職に入って数日は、ただ眠っていました。体が重く、何かをする気力もありません。
ところが、少し体力が戻ってくると、今度は別のものが襲ってきます。焦りです。
スマホを開けば、同世代が普通に働いている。仕事の連絡が来ないのは楽なはずなのに、「自分だけ取り残されている」ような気持ちになる。布団の中で天井を見つめて、「自分は何をやっているんだろう」と考え込む日が続きました。
あとから振り返って思うのは、この焦りは回復の途中で誰にでも出てくるものだということです。休んでいるのに罪悪感を感じる。早く戻らなきゃと思ってしまう。私もそうでした。
だからこそ、最初に伝えたいのは「焦っているのは、あなただけではない」ということです。そのうえで、私が少しずつ立て直していった過程を書いていきます。
休職中にやってよかったこと
私が「これはやってよかった」と心から思えたことは、大きく3つあります。
1. 自己分析をして、本当の気持ちを思い出した
休職した直後、私はたまたま立ち寄った本屋で一冊の本に出会いました。「ずっとやりたかったことを、やりなさい」という、世界的に読まれている本です。
その本には、自分の心の声を取り戻すためのワークがいくつも載っていました。「本当にやりたいことって何だっけ?」という問いに向き合ううちに、私はずっと忘れていた自分の気持ちを少しずつ思い出していきました。
中でも役に立ったのが、モーニングページという習慣です。朝起きてすぐ、頭に浮かんだことをひたすらノートに書き出すだけ。それだけのことなのに、頭の中にたまっていた余計なゴミのようなものが、少しずつ流れていく感覚がありました。
あわせて、キャリアカウンセラーにも複数人相談しました。自分では分からない自分の特徴を、第三者の目から客観的に教えてもらえたのは大きかったです。
そして本屋でメンタル系の本を読みあさるうちに、時田ひさ子さんの「かくれ繊細さん」に関する本にたどり着きました。そこで私は、自分がHSS型HSEという気質を持っているらしいと知ります。
長いあいだ抱えていた生きづらさに、ようやく名前がついた瞬間でした。世界の見え方が変わったと言ってもいいくらいの体験です。
このHSS型HSEという気質については、別の記事でくわしく書いています。あわせて読んでみてください。【当事者が語る】HSS型HSEとは何か。その言葉で私が変わったこと
2. 生活リズムを、意識して整えた
私はもともと、習慣を整えることの大切さは知っているつもりでした。だからこそ、やることがなくて暇な休職中こそ、メンタルを立て直すために毎日同じリズムで生活することを意識しました。
そのなかで、ちょっとした発見がありました。大人になって初めて、アラームをかけずに自然に目が覚める日々を経験したのです。
これが、想像以上に落ち着くものでした。眠りたいだけ眠って、体が自然に起きる。きっとこれが一番、体にとって良い状態なんだろうなと実感しました。
あわせて、軽い散歩のような最低限の運動を取り入れたり、食事もできるだけバランスよくとるようにしました。特別なことではありません。それでも、リズムが整った生活は、心と体にじわじわと効いてくるものだと感じました。
3. 夢中になれる作業に、本気で取り組んだ
休職してしばらく経って体力が戻ってきた頃、私は以前からずっと気になっていたYouTubeチャンネルの運営を、真剣にやってみることにしました。
「いつかやってみたいな」と思いながら、会社勤めの日々では手をつけられずにいたことです。せっかくまとまった時間があるのだからと、収益化まで本気で狙ってチャンネルを運営してみました。
結論から言うと、YouTubeで稼ぐことの難しさを、身をもって知りました。チャンネルの設計、動画の作成、いろいろな経験と知見を得たうえで、「YouTubeをやればうまく稼げるかもしれない」という淡い期待を、きれいに手放すことができたのです。
でも、これは決して無駄ではありませんでした。会社勤めだと、まとまった時間が取れないことを言い訳にして、興味のあることに手をつけないまま終わりがちです。時間がたっぷりあるからこそ、興味のあることに真剣に取り組んで初めて得られる経験があると感じました。
そして何より、自分は興味のあることなら、こんなにも集中して作業に没頭できるんだという発見がありました。これは、自分という人間を知るうえで、大きな手がかりになりました。
やらなくてよかった・やらなければよかったこと
逆に、振り返って「これはやらなくてよかったな」と感じることもあります。休職中の自分に、もし声をかけられるなら伝えたいことです。
1. 焦って先のことを決めようとすること
休職に入って間もない頃は、判断力がかなり落ちています。それなのに「これからどうしよう」「辞めるべきか」と、大きな決断をしようとしてしまいがちです。
私の場合も、休職初期に考えた「これから」は、たいてい不安に引っ張られた極端なものでした。重い決断は、心が少し回復してからのほうがいい。これは強く感じたことです。
2. 回復の度合いを、人と比べること
SNSを開けば、元気に活動している人の姿が目に入ってきます。それを見て「自分はまだこんな状態なのに」と落ち込む。これはやらなくてよかったことの一つです。
回復のペースは人それぞれで、比べることに意味はありません。見ていてつらくなる情報からは、意識して距離を取るほうが、私には合っていました。
3. 「早く戻らなきゃ」と自分を急かすこと
休職は、怠けている時間ではありません。心と体を回復させるための、大切な時間です。
頭では分かっていても、「早く戻らなきゃ」という声は何度も湧いてきました。でも、その声に急かされて無理に動こうとすると、かえって回復が遠のく。焦りを手放すことそのものが、休職中の大事な仕事だったのかもしれません。
HSS型HSEの私が気づいた、休職中の過ごし方のコツ
ここまで書いてきて、自分でも気づいたことがあります。
私はHSS型HSEという、刺激を求めながらも繊細で疲れやすいという、少し矛盾した気質を持っています。だからこそ、「ただ何もしないで休む」というのが、実はとても苦手でした。
世間でよく言われる休職中の過ごし方は、「とにかく休む」「何もしない」というものです。それはとても大事なことですが、私のような気質の人間には、それだけだと逆にそわそわして落ち着かないこともあります。
私にとって効いたのは、回復の段階に合わせて、小さな刺激を意識して取り入れることでした。本を読む、ノートに書く、散歩する、興味のあることに少しだけ手を出す。そうやって自分のペースで動くことが、結果的に回復を後押ししてくれた気がします。
同じように「ただ休むのが苦手」と感じる方がいたら、自分を責めないでほしいと思います。気質によって、回復に合うやり方は違っていいのです。
休職中の過ごし方に、正解はない
休職中にやってよかったことは、自己分析・生活リズム・夢中になれる作業の3つ。やらなくてよかったのは、焦って決断すること・人と比べること・自分を急かすことでした。
ただ、これはあくまで私の場合の話です。あなたに合う過ごし方は、あなたにしか分かりません。
もし今、何もできない自分を責めているなら、それでいいんだと伝えたいです。今は、心と体を休めるための時間。焦らず、自分のペースで進んでいけば大丈夫です。
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一人で抱え込まず、話してみませんか
休職中は、考えがぐるぐると頭の中を回って、出口が見えなくなることがあります。私自身がそうでした。
身近な人には話しづらい。でも、誰かにちゃんと聞いてほしい。そんなとき、私でよければお話を聞きます。同じように職場で消耗し、休職を経験した人間として、あなたの今に寄り添えたらと思っています。
もう少し自分のペースで理解を深めたい、という方には、私がこれまでの経験をまとめた本もあります。メンタル不調と職場の関係をもっと整理したい方へ。




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