傷病手当金は退職後ももらえる?継続給付の条件と、計8か月もらった私の話

休職・復職

傷病手当金をもらいながら休職していたけれど、このまま復職できそうにない。退職したら、傷病手当金はもう打ち切られてしまうのだろうか。

結論から書きます。一定の条件を満たせば、傷病手当金は退職後ももらえます。これを「継続給付」といいます。

私は実際に、休職中の6か月と退職後の2か月、あわせて8か月のあいだ傷病手当金を受け取りました。退職をまたいでも、金額は変わりませんでした。

この記事では、退職後も傷病手当金をもらうための条件を、制度として正確にまとめたうえで、私自身が退職をまたいで継続受給したときに気をつけたことを書いていきます。

お金の見通しがあるかないかで、退職という選択のしんどさは大きく変わります。少しでも不安が軽くなればうれしいです。

退職後も傷病手当金はもらえる。それが「継続給付」

傷病手当金は、本来は「会社の健康保険に入っている人(被保険者)」がもらえる制度です。

だから、退職すると会社の健康保険からは抜けます。普通に考えれば、そこで打ち切りのように思えます。

でも、健康保険には「資格喪失後の継続給付」という仕組みがあります。退職して被保険者でなくなったあとも、一定の条件を満たしていれば、残りの期間について傷病手当金を受け取り続けられる、という制度です。

在職中の受給とは少し扱いが変わります。次の章で、その条件を一つずつ見ていきます。

退職後も傷病手当金をもらうための条件

退職後も傷病手当金を受け取るには、次の条件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると受け取れなくなるので、順番に確認していきます。

条件1:退職日まで、継続して1年以上の被保険者期間があること

退職日(正確には資格喪失日の前日)の時点で、健康保険の被保険者だった期間が、継続して1年以上あることが必要です。

転職などで会社が変わっていても、健康保険が1日も途切れずにつながっていれば、通算できます。

ただし、退職後に入る「任意継続」や「国民健康保険」の期間は、この1年にはカウントされません。あくまで退職日までの、会社員としての被保険者期間です。

条件2:退職日の前日までに「待期3日」が完成していること

傷病手当金には、連続して3日間仕事を休む「待期」という期間があります。この3日が完成して、4日目から支給対象になります。

退職後も継続してもらうには、この待期3日が退職日の前日までに完成している必要があります。すでに休職して傷病手当金をもらっている人は、当然クリアしています。

条件3:退職日も、働けない状態で休んでいること(出勤しない)

ここが、いちばん見落とされやすく、いちばん大事なところです。

退職日に出勤してしまうと、それだけで継続給付の条件を満たさなくなり、退職日の翌日以降の傷病手当金がもらえなくなります。

退職日は、働けない状態で休んでいることが条件です。挨拶や私物の整理で会社に行くこと自体は問題ないとされていますが、「出勤扱い」にして仕事をしてしまうとアウトです。

私はこの落とし穴を事前に知っていたので、退職日は休業日にしました。引き継ぎは前もって終わらせ、退職日に出社して働く、ということをしないように気をつけました。

条件4:退職後も、同じ傷病で引き続き働けない状態であること

退職日と同じ病気やケガで、働けない状態が続いていることが条件です。

たとえば、うつ病や適応障害で休職して退職した場合、退職後も同じうつ病・適応障害で働けない状態が続いている必要があります。退職後にいったん回復して、別の理由でまた働けなくなった、というケースは継続給付の対象になりません。

条件5:支給開始日から通算して1年6か月の範囲内であること

傷病手当金がもらえる期間は、支給が始まった日から通算して1年6か月までです。退職後も、この期間の範囲内であれば受け取れます。

つまり退職後にゼロから1年6か月もらえるのではなく、在職中にもらった分も含めての通算です。私の場合は、休職中の6か月分と退職後の2か月分が、この1年6か月の枠の中に収まっていました。

制度の正確な内容や、ご自身が条件に当てはまるかどうかは、加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)の窓口で必ず確認してください。協会けんぽ・傷病手当金のページも参考になります。

退職後はいつまで、いくらもらえるのか

金額は、退職しても減らない

私がいちばん不安だったのは、退職したら金額が下がるんじゃないか、ということでした。

結果から言うと、私の場合、退職後も日額は在職中と同じでした。傷病手当金の日額は、おおまかに言うと「直近の給料(標準報酬)をもとにした日額の3分の2」で計算されますが、これは退職をまたいでも変わりませんでした。

金額の具体的な計算方法は、別の記事で詳しくまとめています。

▶ 傷病手当金の計算方法と意外と知らない落とし穴

もらえる期間は「通算1年6か月」まで

前述のとおり、支給開始日から通算して1年6か月が上限です。退職したからといって、ここが延びるわけでも縮むわけでもありません。在職中と退職後をあわせて、この枠の中で受け取る形になります。

退職後の申請は、自分でやることになる

在職中は、傷病手当金の申請書を会社が取りまとめて出してくれることが多いです。会社が記入する欄もあります。

退職すると、ここが変わります。退職後の期間については、自分で申請書を用意して、加入していた健康保険に提出することになります。

申請書には医師の証明(働けない状態であること)が必要なので、通院は続けておく必要があります。私は退職後も同じ病院に通い、申請のたびに先生に証明欄を書いてもらっていました。

退職した月の申請で、私がつまずいたこと

ひとつ、私が実際につまずいた話を書いておきます。退職した月の申請まわりです。

傷病手当金の申請書には、主治医に「働けなかった期間」を証明してもらう欄があります。私は基本的に、月初から月末までの月単位で書いてもらっていました。

私は12月1日付けで退職しました。そうすると、12月分の申請には、12月のうち在職していた日(私の場合は退職日にあたる分)について、会社の証明が必要になりました。

ところが私は「もう退職したから会社の証明はいらない」と思い込んでいて、12月分を会社を通さずにそのまま提出してしまいました。

すると、加入していた健康保険から連絡が来て、会社の証明欄を記載してもらってくださいと言われました。

正直あせりましたが、わからないことを質問したら、とても分かりやすく教えてもらえました。申請書をいったん返送してもらい、会社に証明をお願いして送り直すことで、問題なく解決しました。

ただ、そのやりとりのぶん、振り込まれるまでの期間は少し長くなりました。退職した月をまたぐ申請は、在職していた分について会社の証明が必要になることがある。これを先に知っていれば、ひと手間減らせたなと思います。

申請してから実際にお金が振り込まれるまでには、いくらか時間がかかります。退職後は収入が不安定になりやすいので、振込のタイミングを把握しておくと気持ちが楽でした。このあたりは別記事にまとめています。

▶ 傷病手当金の振込はいつ?申請から入金までの期間と、私が待った日数

退職後の健康保険料や住民税がどうなるかも、退職前に知っておくと見通しが立ちます。

▶ 休職中の社会保険料・住民税はどうなる?

失業手当(雇用保険)とは、同時にはもらえない

退職後のお金として、傷病手当金と一緒に気になるのが、失業手当(雇用保険の基本手当)だと思います。

これは制度として整理しておきます。傷病手当金と失業手当は、同時には受け取れません。

理由はシンプルで、傷病手当金は「病気で働けない人」がもらうもの、失業手当は「働ける状態で次の仕事を探している人」がもらうものだからです。立場が真逆なので、両立しないわけです。

私自身は、退職後しばらくは働ける状態ではなかったので、失業手当はもらわず、傷病手当金を継続して受け取る道を選びました。だから失業手当そのものを受給した経験はありません。

ただ、調べていく中で知ったのは、「いまは働けないけれど、回復したら失業手当をもらいたい」という場合には、ハローワークで雇用保険の受給期間の延長手続きをしておく、という選択肢があるということでした。失業手当には受け取れる期間に期限がありますが、働けない期間はその期限を延ばしておける、という仕組みです。

退職後のお金まわり全体については、こちらの記事でも触れています。

▶ メンタル不調で退職した後、雇用保険(失業保険)はどうなる?

私が退職をまたいで受給したときに、気をつけたこと

最後に、制度の話ではなく、私が実際にやってよかったことを書いておきます。

ひとつめは、退職日を休業日にしたことです。条件3の落とし穴を知っていたので、退職日に出勤して働く、ということを避けました。

ふたつめは、通院と申請を切らさなかったことです。退職後は会社が手続きをしてくれないぶん、自分で動く必要があります。申請が遅れたり抜けたりしないよう、通院のタイミングと申請のタイミングをセットで管理していました。

みっつめは、退職前に健康保険の窓口に確認したことです。継続給付は条件が細かいので、自分のケースで本当にもらえるのかを、退職してしまう前に確認しておきました。退職してからでは取り返しがつかない条件(退職日の出勤など)があるからです。

お金の不安があると、療養そのものがうまくいきません。私にとって、退職後も傷病手当金が続いたことは、心の余白そのものでした。

まとめ:退職と傷病手当金は、両立できる

退職したら傷病手当金は終わり、というわけではありません。条件を満たせば、継続給付として退職後も受け取れます。

大事なポイントをもう一度だけ整理します。退職日まで継続1年以上の被保険者期間があること。退職日に出勤しないこと。同じ傷病で働けない状態が続いていること。この3つは特に外せません。

そして、条件の判断は必ず、自分が加入している健康保険の窓口で確認してください。この記事は私の体験と一般的な制度の整理であって、個別のケースを保証するものではありません。

退職を考えるとき、お金の見通しがあるだけで、ずいぶん呼吸がしやすくなります。あなたの療養が、少しでも穏やかなものになりますように。

※本記事は筆者自身の体験と、一般的な制度内容をもとにまとめたものです。傷病手当金の継続給付は条件が細かく、個別の状況によって判断が変わります。ご自身が受給対象になるかどうかは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)やお勤め先、専門家に必ずご確認ください。制度は改正される場合があります。

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