適応障害で退職するのは逃げ?後悔しない?休職から辞めた私のその後

転職・退職

適応障害と診断されて、仕事を辞めたい。でも、辞めてしまっていいのか。逃げになるんじゃないか。後悔しないだろうか。そんなふうに、答えの出ない問いをぐるぐると抱えている方が、この記事にたどり着いたのかもしれません。

先に、私の結論をお伝えします。私は適応障害で休職し、復職せずに退職しましたが、いまのところ後悔はしていません。ただ、辞める前に知っておいてよかったと思うことも、いくつかあります。

この記事では、適応障害での退職は逃げなのかという気持ちの整理から、辞める前に私が確認したこと、退職後にどうなったのかまでを、当事者としての体験をもとにお話しします。

※この記事は、適応障害で休職し、復職せずに退職した私自身の体験をもとにしています。医療や法律の専門的なアドバイスではありません。症状の判断や制度・手続きについては、主治医や専門機関、お住まいの自治体・ハローワークなどにご確認ください。

適応障害で「辞めたい」と思うのは、逃げなのか

適応障害で退職を考えるとき、多くの人が同じ場所でつまずきます。それは、辞めることを逃げだと感じてしまう、という壁です。

私もそうでした。休職して少し落ち着いてきた頃、頭の中は「早く回復して、元の場所に戻らなきゃ」でいっぱいでした。戻る以外の道は、最初から選択肢に入っていませんでした。戻れなかったら終わりだ、と思い込んでいたんです。

でも、いま正直に振り返ると、ずっと奥のほうに別の気持ちがありました。本当は、あの場所に戻りたくなかった。自分が限界を迎えた場所に、また戻っていくことがこわかった。

その気持ちに、なかなか向き合えませんでした。戻りたくないと認めることが、逃げを認めるみたいに感じたからです。

「半数が辞めている」という事実

気持ちの整理に、ひとつの数字が助けになりました。

レバレジーズ株式会社(障がい者就労支援サービス「ワークリア」)が2025年に行った実態調査によると、メンタル不調で休職した人のうち、休職明けに約5割が休職前の会社を退職していました。20代に限ると、その割合は約7割にのぼります。さらに、休職のきっかけとして最も多かったのは「職場の人間関係(24.3%)」でした。(出典:レバレジーズ株式会社 ワークリア「メンタルヘルス不調による休職者の実態調査」2025年9月発表)

この数字を初めて見たとき、私は「やっぱり休職したら終わりなんだ」と落ち込みました。でも、少し違う角度から見ると、別のことが見えてきます。

半数が辞めるのは、その人たちが弱かったからではないように思います。休職のきっかけの多くは、職場の人間関係や仕事の量にあります。つまり、しんどさの原因は、その職場の中にあることが多い。だとすると、元の場所に戻るというのは、その原因のほうへ、もう一度戻っていくことでもあります。

自分を限界に追い込んだ環境が、戻った先でそのまま待っている。これでは、また同じことが起きても不思議ではありません。

戻りたくないと感じるのは、体が危険な場所を覚えていて、ブレーキをかけているだけなのかもしれません。そう考えると、退職は脱落ではなく、出口のひとつなのだと、私は思えるようになりました。出口は、たぶん一つではありません。

適応障害になった経緯や、私が休職を「悪いこと」だと思わなくなるまでの流れは、適応障害で休職することになったときの流れ全体にまとめています。あわせて読んでみてください。

私が辞める前に確認したこと

とはいえ、適応障害の症状が重いときは、視野が狭くなって、衝動的に決めてしまいがちです。私は、勢いで辞める前に、いくつかのことを確認しました。

退職の前に、休職という段階があること

まず私は、いきなり辞めるのではなく、休職を経ました。少し休むだけでも体調が戻ることがありますし、休んでいる間に、辞めるかどうかを時間をかけて考えられます。一番冷静に考えられない時期に、退職という大きな判断を急いで下さずに済んだのは、私にとってよかったことでした。

診断書をきちんともらっておくこと

休職や退職の場面では、診断書が大事な役割を果たします。私は受診のとき、つらさを過小に申告してしまいがちだったので、事実をメモにして医師に伝えるようにしました。診断書のもらい方や、医師への伝え方は診断書をもらうとき、医者に何を伝えればいいかに詳しく書いています。

お金の見通しを立てておくこと

退職後は収入が途切れます。私の場合、休職中から傷病手当金を受け取っていて、退職後も継続して受給できました。最終的に、休職と退職をまたいで計8か月受け取りました。傷病手当金が退職後ももらえる条件は傷病手当金は退職後ももらえる?継続給付の条件に、退職後の雇用保険(失業保険)についてはメンタル不調で退職した後、雇用保険はどうなるかにまとめています。お金の不安は、見通しを持つだけで少し軽くなります。

退職の伝え方と、退職後の手続き

辞めることを決めたあとは、伝え方と手続きが待っています。ただ、ここは記事を分けて書いているので、要点だけお伝えします。

私の場合は、休職中に人事からメールで意向を確認され、その流れで退職を伝えました。自分から強く切り出す、という場面はありませんでした。休職中にそのまま退職する場合の伝え方や注意点は、休職中にそのまま退職する伝え方にまとめています。

退職後の手続きで一点だけ触れておきたいのが、失業保険のことです。体調不良が理由の退職は、診断書などによって「特定理由離職者」と認められる場合があり、給付の条件が通常と変わることがあります。ただ、これは個別の事情によって判断が分かれるため、必ずハローワークの窓口でご自身のケースを確認してください。私から「こうなる」と断定できる話ではありません。

適応障害で退職して、私はどうなったか

ここが、いちばんお伝えしたいことかもしれません。辞めたあと、その後どうなったのか、という話です。

退職してからは、しばらく療養の時間を取りました。すぐに次を探すのではなく、まず回復を優先しました。回復はまっすぐには進まなくて、よくなったり、また落ちたりを繰り返しました。

その後、転職活動を始めました。前の職場で何がしんどかったのかを自分なりに整理して、エージェントにも正直に伝えました。隠さなかったことで、かえってミスマッチが減ったように思います。休職経験が転職で不利になるか不安な方は、休職経験は転職で不利になるかや、転職エージェントを使う前に知っておきたいことも参考になるかもしれません。

いま私は、経理の仕事をしています。残業はほとんどありません。前の職場にあった慢性的なストレスは、環境を変えたことで大きく減りました。

正直に言うと、退職にデメリットがなかったわけではありません。収入が途切れる不安や、空白期間への引け目はありました。それでも、私が後悔していないのは、辞めた理由がはっきりしているからだと思います。私が弱かったから壊れたのではなく、自分にその環境が合っていなかった。ただ、それだけのことでした。合わない場所から離れることは、逃げではなく、自分の体を守るための選択だったと、いまは思えています。

適応障害で退職を考えているあなたへ

適応障害で退職するのは逃げなのか。後悔しないのか。その答えは、すぐに出さなくて大丈夫です。

ただ、もし「戻らなきゃ」とだけ思い詰めているなら、一度だけ、自分にこう聞いてみてもいいのかもしれません。いま戻ろうとしているのは、戻りたい場所だろうか。それとも、戻らなきゃいけないと思い込んでいる場所だろうか。

その問いを、一人で抱えるのがしんどいときは、誰かと一緒に眺めてみるのもひとつの方法です。私も、同じところで立ち止まった一人として、もし誰かの役に立てるならと思っています。

いまの気持ちを、誰かに聞いてもらいたい。退職について、一人で考えるのがしんどい。そんなときは、テキストでのご相談を受け付けています。同じ経験をした人間として、あなたの言葉をていねいに受け取ります。ココナラのページを見てみる

※適応障害の症状や治療、退職にともなう制度・手続きの判断は、主治医・専門機関、お住まいの自治体やハローワークなどの公式の窓口でご確認ください。この記事は私個人の体験を共有するものであり、医療・法律上の助言を行うものではありません。

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