上司と合わないのが限界|相談しても報われなかった私が、気づいたこと【体験談】

職場の人間関係・メンタル

上司と合わないまま、もう限界かもしれない。そう感じているなら、まず知っておいてほしいことがあります。

正直に相談しても、報われないことがあります。私自身がそうでした。勇気を出して上司に伝えたのに、なぜか自分が悪いことになって、味方もいないと感じました。

でも、それはあなたの説明が下手だからでも、我慢が足りないからでもないかもしれません。理解されにくい「構造」が、先にあることがあります。この記事では、私が適応障害で休職・退職に至るまでに上司との間で起きたことと、そこから少し楽になれた考え方を、私の経験の範囲で書いていきます。

「上司と合わない」が限界に近づいたとき、私に起きていたこと

私が限界に近づいていたとき、外から見れば「普通に働けている人」でした。締切はなんとか守れていて、数字も壊滅的ではなく、大きなクレームが出ていたわけでもありません。

でも内側では、確実に何かが崩れていました。会議で話を聞いていても途中で内容が抜ける。メモを取っても、あとで見返すと意味がつながらない。判断が遅いことが、自分ではっきり分かる。些細なことで心拍が上がる。

「上司と合わない」という言葉だと軽く聞こえるかもしれません。でも実際は、合わない相手と毎日顔を合わせ続けることで、少しずつ自分がすり減っていく感覚でした。

限界のサインそのものについては、別の記事で詳しくまとめています。自分が今どのあたりにいるのか確かめたい方は、あわせて読んでみてください。

会社をやめたいサイン・限界のサイン|見逃さないために知っておきたいこと

相談したのに、なぜか自分が悪いことになった話

このままだと壊れる。その感覚がはっきりしてきたころ、上司との定期面談が近づいていました。

面談は本来、仕事ができていることを示す場だと思っていました。弱みを出せば評価は下がるかもしれない。それは分かっていました。それでも、黙ったまま壊れるよりはいいと思って、伝えることにしました。

メンタルクリニックに通っていること。集中力や判断力が落ちていること。このままだとまずいという感覚があること。うまく整理できる自信はありませんでしたが、隠さずに話そうとしました。

ですが、返ってきたのは「改善」の話でした。

「具体的にどこで仕事が進まない?」
「情報のまとめ方を変えたら、もっと効率的にできるよ」
「あの人はぐいぐい来てほしいタイプだから、食らいつけばいい」

上司の言いたいことは理解できます。立場を考えれば、業務がどう回るかを考えるのは当然です。でも、私が話していたのは効率の話ではありませんでした。このままだと壊れるかもしれない、という話でした。

そこで出てきたのが、この一言です。

「このままだと評価下がるよ」

その瞬間、頭の中がぐちゃぐちゃになりました。今、自分が抱えているのは評価の問題なのか。怒りが湧いたわけではありません。ただ、話の軸が違っていると感じました。

こちらは「限界」の話をしている。でも向こうは「成果」の話をしている。同じ話題を話しているのに、見ている基準がまるで違っていました。

面談が終わって席に戻ったあと、しばらく動けませんでした。同僚には「顔色悪いよ?」と言われました。正直に話したのに、方向は何も変わらなかった。帰り道はずっと、伝え方が悪かったのか、もっとロジカルに整理すべきだったのか、と考えていました。

「今は乗り切るしかない」――優しい上司でも、届かないことがある

似たようなことは、一度きりではありませんでした。

別のとき、しんどい状態を別の上司に相談したことがあります。その人は、決して冷たい人ではありませんでした。普段から人の感情をよく汲み取り、部下にも気を配るタイプの上司でした。だからこそ、この人なら分かってくれるかもしれないと思って、相談する気になれたんです。

それでも、返ってきた言葉はこうでした。

「大変だと思うけど、今は乗り切るしかないよ」
「他の人もみんな頑張っているからね」

主治医にもストレスが原因だろうと言われています、と伝えたときには、

「ストレスって便利なようで不便な言葉だよね」

という返答でした。明確に責められたわけでも、否定されたわけでもありません。ただ、「この人には伝わっていない」という感覚だけが残りました。

優しくて配慮のできる人でも、メンタル不調そのものは届かないことがある。このとき私は、味方がいないというより、味方だと思っていた場所にも届かないんだ、という孤立を感じていました。

一番きつかったのは、「うまく言えなかった自分」を責めることだった

理解されなかったとき、私の頭の中にあったのはこういうことでした。

説明が足りなかったのではないか。もっとうまく伝えられれば、分かってもらえたのではないか。やっぱり自分のメンタルが弱いだけなのではないか。

今振り返ると、この考え方が一番きつかったと思います。理解されなかった悔しさや悲しさより、「うまく説明できなかった自分」を責め続ける方が、ずっとしんどかった。

自分を責めながら、もう一度説明しようとする。また伝わらない。またへこむ。そのループの中に、長いあいだいました。

理解されないのには、構造がある(あなたのせいじゃない)

休職して時間が経ち、少しずつ整理できるようになってきたとき、一つのことに気づきました。

伝わらなかったのは、説明の仕方の問題ではなかったのかもしれない。そもそも理解されにくい構造が、先にあったのではないか。

その構造を整理していくと、大きく二つのパターンに行き着きました。

① 想像が届かないケース

メンタル不調を経験したことがない人には、「何がそんなに大変なのか」が本当に分かりません。悪意があるわけではありません。

その人自身がその環境で問題なく働けている場合、「自分は大丈夫だった」という経験が、無意識の基準になります。その基準から見ると、そこまで深刻ではないのでは、少し休めば回復するのでは、という判断になってしまう。こちらはすでに限界に近いのに、相手はまったく別のデータを基準に見ている。このズレがある限り、どれだけ言葉を尽くしても会話は噛み合いにくくなります。

② 理解しようとすると、相手の価値観が揺らぐケース

もう一つは、少し複雑です。

「つらくても耐えることに価値がある」「踏ん張れる人間が評価される」。そういう前提で長年働いてきた人にとって、「不調の原因は本人の弱さだけでなく、環境との摩擦にもある」という話は、自分がこれまで信じてきた価値観そのものに触れる問いになってしまいます。

だから人は、そこまで考えが届きそうになると、無意識に「個人差の問題だった」「その人には合わなかっただけ」という整理に落ち着こうとする。

どちらのパターンも、冷たいからでも無責任だからでもありません。それでも、だからこそ「理解されない」という経験は積み重なっていきます。

この構造が見えてきたとき、私は少し楽になりました。説明の仕方が悪かったわけではなかった。伝わらない構造が、先にあった。誰かのせいにするのでも、自分を責めるのでもなく、「そういう仕組みがあったんだ」と思えるようになったことが、私にとっては大きな変化でした。

味方がいないと感じたとき、私が手放した考え方

職場に味方がいないと感じるとき、私たちはつい、「分かってもらうこと」を目指してしまいます。もう一度説明すれば、もっと丁寧に伝えれば、いつか届くはずだ、と。

でも、届かない構造が先にある相手に対して、「分かってもらうこと」をゴールにし続けると、届かないたびに自分を責めることになります。私はここで消耗していました。

だから私は、「この人に分かってもらう」という目標を、いったん手放しました。

分かってもらえないのは、私が弱いからでも、伝え方が下手だからでもない。ただ、この相手・この環境とは前提が合わないだけ。そう置き直すと、無理に説得しようとしてすり減ることが減りました。

味方がいないと感じる職場で、その場の全員に理解してもらおうとしなくていい。まずは、自分の状態を成果と切り離して見てくれる場所――主治医や、社外の相談先や、当事者の言葉――に、少しだけ軸足を移す。私にとってはそれが、限界の手前で自分を守る方法でした。

我慢の先に、環境を変えるという選択があった

正直に伝えても方向が変わらなかったあと、私は最終的に休職し、そのまま復職せずに退職を選びました。

「上司と合わないくらいで辞めるのは逃げなのでは」と、当時の私も思っていました。でも今は、あれは逃げではなく、合わない環境から距離を取る合理的な選択だったと思っています。自分が弱かったのではなく、環境と合わなかっただけ。そう思えるまでには、少し時間がかかりました。

いまは働く環境を変えて、経理職で残業もほぼありません。以前のように、日々の調子の波に振り回されることは、かなり減りました。合わない相手に理解してもらうことに費やしていたエネルギーが、そのまま自分の回復に回った感覚があります。

もし今、上司と合わないのが限界で、辞めたい気持ちと迷いのあいだにいるなら、いきなり結論を出さなくて大丈夫です。私が休職から退職を選び、後悔していない理由については、こちらの記事に書いています。

適応障害で退職するのは逃げ?後悔しない?休職から辞めた私のその後

また、復職か転職かで迷っている段階の方は、こちらもあわせてどうぞ。

復職か転職か。休職中に私が決断するまでの話
転職活動がしんどい、もう疲れた…また崩れないようにやったこと

まとめ:合わないのは、あなたが悪いからじゃない

上司と合わないのが限界だと感じるとき、私たちはつい、自分の伝え方や我慢の足りなさを責めてしまいます。

でも、正直に相談しても報われないことはあるし、優しい人でも届かないことはある。それには、理解されにくい構造が先にあることが多いのだと、私は自分の経験から思っています。

分かってもらえないのは、あなたが弱いからではありません。まずは、自分の状態を成果と切り離して受け止めてくれる場所に、少しだけ軸足を移してみてください。そして、我慢を続けることだけが選択肢ではないことも、頭のすみに置いておいてもらえたらと思います。

あなたが少しでも消耗せずにいられる場所に、たどり着けますように。


※この記事は、私自身の経験と、その範囲で整理した考えをまとめたものです。心身の不調が続く場合は、我慢せず医療機関や公的な相談窓口にご相談ください。適応障害・休職・退職に関する制度や対応は、医師の判断や勤務先の就業規則、個々の状況によって異なります。正確な情報は主治医・産業医・お住まいの自治体・専門家などにご確認ください。

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