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※この記事は、私自身の休職・転職の経験と、公開されている情報をもとに書いています。体調や治療の判断については医師に、就業規則や経歴の取り扱いに関する法的な判断については、労働局や専門家にご確認ください。
休職しながら転職活動を始めたとき、いちばん手が止まったのが応募書類でした。
休職していることを、書くのか。書かないのか。
調べると、「書く義務はありません」と書いてある記事がずらりと並びます。私もそれを読んで、書かなくていいのだと思っていました。
ところが実際に転職エージェントに登録して、担当の方に書類を見てもらったとき、こう言われました。
「ここ、書いてください」
この記事では、そのとき私が履歴書と職務経歴書に実際に書いた一文をそのまま載せます。あわせて、書かなかった場合に何が起きうるのか、そして「正解は一つではない」と私が思うようになった理由も書きました。
「書く義務はない」と書いてある。でも私は「書いてください」と言われた
まず、事実の整理から。
休職したことを応募書類に記載する法的な義務は、定められていません。この点はどの解説記事も同じことを書いていますし、私が調べた限りでもそうでした。
だから多くの記事は、こう続きます。「書く必要はない」「書かないほうが印象がよい」。
ただ、私が実際に直面したのはその一般論ではありませんでした。目の前にいる担当者から「書いてください」と言われる、という状況です。
今になって考えると、それは矛盾ではありませんでした。
「書く義務はない」は法律の話で、「書いてください」はこの応募でどう伝えると通りやすいか、という実務の話です。層が違うので、両方が同時に成り立ちます。
ただ、書類を前にして固まっている人間にとって、そのふたつは同じ場所にある問いに見えます。私はしばらく、どちらが正しいのかを探していました。
私が実際に書いた一文
結論から言うと、私は両方の書類に、それぞれ一文だけ書き足しました。
職務経歴書に書いたこと
職務経歴書では、いちばん直前の経歴の、一番下の位置に書きました。
※現在休職中ですが体調回復しており勤務可能な状態です
これだけです。前後に説明はつけていません。
履歴書に書いたこと
履歴書では、職歴欄のいちばん最後の行に書きました。
休職 ※就業上の制限はなく現在就業可能な状態です
こちらも一行です。
書き上げたときの実感としては、拍子抜けするほど短いな、というものでした。もっと事情を説明しなければいけないと身構えていたからです。
この二つに共通していたこと
あらためて並べてみると、私が書いた二文には共通点がありました。当時から意識していたわけではなく、後から見て気づいたことです。
1. 事実、現状、結論の三つしか書いていない
「休職している」という事実。「体調は回復している」という現状。「働ける」という結論。
この三つだけで構成されています。どちらの文もそうでした。
逆に言うと、それ以外は何も入っていません。なぜ休職したのか、どのくらい休んだのか、今後どうするつもりなのか。書類の段階では、そのどれも書きませんでした。
2. 病名を書いていない
私が休職した理由は適応障害でしたが、書類にその言葉は一度も登場しません。
隠したかったというより、書類の役割としてそこまで必要ないと判断した、という感覚に近いです。相手が書類の段階で知りたいのは、おそらく「今、働ける状態なのか」であって、診断名そのものではないだろうと考えました。
病名をどう扱うかは、体調にも、応募先にも、担当者の方針にもよります。ここは私がこうした、という以上のことは言えません。
3. 一文で終えている
解説記事に載っている記載例を見ると、数行にわたって経緯を説明する形のものが多くありました。私が実際に書いたのは、どちらも一文です。
説明を足せば足すほど、言い訳のように読める気がしたというのもあります。ただ、そもそも担当者からの指示が「この状態を伝わるようにしてください」という趣旨だったので、長さは求められていませんでした。
4. 置き場所が決まっている
細かいことですが、どこに書くかも指示を受けました。
履歴書は職歴欄のいちばん最後の行。職務経歴書は直前の経歴の一番下。どちらも「時系列の最後」にあたる位置です。
読む側からすると、経歴を上から追ってきて、最後にたどり着く場所にその一文がある、という並びになります。
ただ、正解は一つではないと思っています
ここまで自分が書いたものを具体的に載せてきましたが、これをそのまま写せば大丈夫です、とは言えません。
理由は三つあります。
ひとつ目は、利用している転職エージェントによって、指示が違うようだということです。私が受けた「書いてください」も、私が登録した先での方針でした。別のところでは違う判断になることもあると聞きます。
ふたつ目は、エージェントが転職先にどう伝えたいかによって変わるということです。担当者は、書類を出す前に企業側とやり取りをしていることがあります。すでに口頭で伝わっている前提なのか、書類で初めて伝わるのかで、書くべき内容は当然変わります。私の書類が一文で済んだのも、その前提があったからかもしれません。
三つ目は、本人の状態によって書ける内容が違うということです。私は「回復しており勤務可能」と書ける状態でしたが、まだ通院中の方、勤務時間に配慮が必要な方は、同じ文をそのまま使うわけにはいきません。
つまり、この手の文面は、状況に合わせて作られるものだということです。
だから私が今いちばん確かだと思っているのは、ネット上の記載例を探して写すより、実際に自分を担当している人に聞いたほうが早い、ということです。担当者は応募先の温度感を知っていますし、書類が通ったかどうかのデータも持っています。
私自身、書類の書き方で迷っていた時間は、担当の方に一度聞いたことでほぼ解消しました。もっと早く聞けばよかったと思っています。
もしまだどこにも登録していない状態でこの記事を読んでいるなら、書類を完成させることより先に、相談できる相手を作るほうが順番として早いかもしれません。私が使っていたのはリクルートエージェントとdodaの二社でしたが、いま調べると、転職エージェントナビ(※広告)のように、複数のエージェントをまとめて紹介してくれるサービスもあるようです。書類の相談ができる相手を、まとめて探せる形です。
どこを使うかより、書類を一緒に見てくれる人がいる状態を作ることのほうが大きいと思います。
エージェントの選び方については、休職中に転職エージェントを使うときに考えたことのほうに詳しく書きました。
書かないとバレる?経歴詐称になる?
ここまでは「書いた場合」の話でした。書かなかったらどうなるのか、という点にも触れておきます。
私自身は書いたので、隠し通した経験はありません。その前提で、調べた範囲の話として読んでいただければと思います。
休職の事実が入社後に分かる経路として、よく挙げられるのは次のようなものです。
- 社会保険の記録
- 住民税の額や手続き
- 前職の源泉徴収票
- 在籍確認やリファレンスチェック
- 人材紹介会社を通じた確認
いずれも、休職期間中は給与の支払われ方が通常と変わるため、そこに差が出るという理屈です。
経歴詐称にあたるかどうかについては、私は判断できる立場にありません。一般には、記載義務のない事項を書かなかったことと、事実と異なることを書いたことは別に扱われるようですが、実際にどう判断されるかは個別の事情によります。気になる場合は、労働局や専門家に確認していただくのが確実だと思います。
ひとつだけ、経験から言えることがあります。
私は面接の段階でも休職のことを伝えました。その結果、入社後に上司が業務量を調整してくれる場面がありました。伝えていなければ、その配慮は発生していません。
隠すか伝えるかは、バレるかどうかだけの問題ではなく、入った後に自分がどう扱われるかにもつながっている。私はそう受け取っています。
「正直に伝えるかどうか」の判断そのものは休職経験は転職で不利になる?正直に話した私の結果に、面接で実際にどう言葉にしたかはメンタル不調の退職理由、面接でどう伝えた?に書いています。書類を通過したあとの話は、そちらに任せます。
在籍中と、辞めた後で変わること
ひとつ、正直に書いておきたいことがあります。
私は休職中に転職活動を始めて、途中で退職し、そのあとも活動を続けました。つまり在籍している時期と、していない時期の両方があります。
ここまでに載せた二つの文面は、在籍中に書いたものです。「現在休職中ですが」と書けているのが、その証拠です。
では退職した後、書類をどう書き換えたのか。
これが、正直はっきり覚えていません。覚えていないことを、それらしく書くわけにはいかないので、ここは空けておきます。
確かなことは一つだけあります。「現在休職中です」と現在形で書けるのは、籍がある間だけだということです。
在籍していれば、休職は職歴の途中にある出来事として扱えます。辞めた後は、その会社を退職した事実が先に来て、休職はその手前の話になります。同じ出来事でも、書類の上での見え方が変わります。
この記事で自信を持って書けるのは、前者の立場で書いた文面までです。辞めた後の書き方を探している方には、ここは物足りない記事だと思います。
書類は落ちました。それでも、受かりました
書き方の話が続いたので、その先で実際に何が起きたのかも書いておきます。
結論から言うと、私の書類はかなり落ちました。
最初は未経験の職種を希望していて、10件出して全部落ちました。書類の段階で、一つも通りませんでした。そこから職種を広げて20社から30社ほど応募し、最終的に希望していた職種で1社に採用されました。今は経理職として働いていて、残業はほとんどありません。
ここで書いておきたいのは、落ちた理由が休職歴だけではなかった、ということです。最初の10件は未経験の職種を狙っていたので、そもそも通りにくい応募でした。あの一文を足したから落ちた、と切り分けられる材料は私にはありません。
落ち続けているときは、全部あの一文のせいだと思いたくなります。私もそう思っていました。ただ振り返ると要因は複数あって、書類の書き方はそのうちの一つでしかなかった、というのが今の見方です。
応募の全体像は適応障害で転職はできる?書類10連敗を経て採用された私の話に、活動そのものがしんどくなってきたときのことは転職活動がしんどい、もう疲れた…また崩れないようにやったことにまとめてあります。
「履歴に穴が開く」と思うのをやめた話
最後に、書類の書き方そのものからは少し離れる話をさせてください。
私が休職をなかなか選べなかった理由の一つは、「キャリアに穴が開く」と思っていたからでした。休むと経歴に空白ができて、それは取り返しがつかないものだと考えていました。
つまり私自身が、空白はマイナスだ、というものさしを握っていたわけです。書類に何を書くかで迷っていたのも、根っこはそこにありました。
その見方が少しゆるんだのは、休職している間に「キャリアブレイク」という考え方を知ったときでした。
一般社団法人キャリアブレイク研究所は、これを「離職・休職などを通じて一時的に雇用から離れ、人生と社会を見つめ直す期間」と定義しています。働いていない時間を、脱落ではなく一つの区間として置き直す考え方です。欧米では以前からある概念で、LinkedInも2022年に、職歴欄へ「キャリアブレイク」を記入できる項目を追加しました。
数字で見ても、そこまで珍しいことではありませんでした。同研究所が厚生労働省の2022年の調査をもとに示しているところでは、1か月以上の離職期間を経て再就職している人は年間およそ147万人にのぼります。
思い返せば、私が以前いた職場にも、休職を経験してから中途で入ってきた人が何人かいました。知らなかったのではなく、そういう目で見ていなかっただけです。
ただ、これをきれいごとで終わらせるつもりはありません。採用する側が空白期間を気にするのは現実としてありますし、それだけで見送られることもあるでしょう。ものさしを変えたのは私の側の話で、相手のものさしまで変わるわけではありません。
それでも、自分で自分の経歴を「穴」と呼ぶのをやめただけで、書類に向かうときの手の重さはずいぶん違いました。
休職がキャリアにどう影響したのかは、適応障害で休職=人生終わり?キャリアに傷はついたのかのほうで、その後に実際に起きたことを含めて書いています。
まとめ
整理します。
- 休職を書類に記載する法的な義務はありませんが、私は転職エージェントから「書いてください」と言われて書きました
- 書いたのは、職務経歴書は直前の経歴の一番下に一文、履歴書は職歴欄の最終行に一行
- 内容は「休職している」「回復している」「働ける」の三点のみで、病名は書きませんでした
- ただし正解は一つではなく、エージェントの方針、応募先への伝わり方、本人の状態で変わります
- だから記載例を写すより、担当している人に聞いたほうが早いと思っています
- 書類は落ちました。それでも最終的には決まりました
書類の一文をどう書くかは、悩み出すといくらでも時間が溶けます。私もそこで止まっていました。
ただ、あの一文は、自分を説明しきるためのものではなかったのだと思います。今この人は働ける状態にあるらしい、と相手に分かってもらうための、事務的な一行でした。
そう思えるようになってから、書類を出すことのハードルは少し下がりました。
いま書類の前で手が止まっている方が、この記事を読んで、少しだけ気楽にペンを進められたらうれしいです。
※この記事は、私個人の休職・転職の体験と、公開されている情報をもとに書いたものです。体調や治療、就労可否の判断については医師にご相談ください。また、経歴の記載や経歴詐称の判断、就業規則の解釈といった法的な事項については、労働局や社会保険労務士などの専門家にご確認ください。この記事の内容は、特定の書き方や対応を推奨するものではありません。


